hp200LX 液晶ビネガーシンドロームの予防法を考える。
2015/04/12
また液晶が劣化してしまった例に遇(あ)いました。
残念なことです。
バックライトは点灯しても、液晶の劣化部は何も見えません。
黒い大きなシミのようです。
バックライト化した液晶では、電源OFF時にも怪しい光具合を感じます。
なんとか劣化を阻止できないか。
ビネガーシンドロームを勉強します。
低温・低湿倉庫でのマイクロフィルム長期保存サービス(寺田倉庫)から「ビネガーシンドロームとは」の項を引用(斜線部分)
映像フィルムやマイクロフィルムなどで使用されているTAC(トリアセテートセルロース)フィルムは長期寿命が期待されているものですが、高温多湿状態で保存すると、劣化が始まることが確認されています。これがいわゆる「ビネガーシンドローム」と呼ばれる劣化現象です。ビネガーシンドロームは、大切なデータ保存に関して大きな脅威となる重要な問題です。
ゼラチン層に接するセルロースアセートが空気中の水分と反応して酢酸が発生し、フィルムの表面にべたつきが出てワカメ状になり猛烈な酢酸臭が発生します。この状態に侵されると再生はもちろん復元も困難になってきます。
鈴木写真変電所 のページ「ビネガーシンドロームの発症と経緯」を参照しますと、
フィルムの加水分解で酢酸ガス等を発生
通気性が無いと、自己分解でガス濃度上昇
とあります。
なるほど。
写真フィルムも同様に劣化していることがわかります。 というか、200LXもフィルムと同様に劣化しているということですが。
フィルムが縮れるように丸くなる様子は、200LXの劣化した液晶面を剥がした状況にそっくりです。
縮れたフィルム
(ヴィネガーシンドロームを起こしたhp200LXの液晶表示部と、別の同様の2台から剥がした上面偏光フィルム)
剥がした当初は、やわらかい普通の偏光シート状なのですが、数時間もしないうちに縮んでしまいます。
ビネガーシンドローム予防法を考えますと、 「水分」+「ガス」がキーワードのように思えます。
水分がなければ、加水分解しない。
酢酸ガスが、加水分解を促す。
また一般的に、熱は反応を促進させるでしょう。
実際例を考えます。
1、暗所に保管していたhp200LXに、ビネガーシンドロームが発生しています。
2、ただし高温多湿で長年使用していても発生しないものが多い。
1、は、水分や高温が少なかったけれど、ガスが徐々に溜(た)まっていった。
2、は水分、高温があったけれど、ガスは拡散された。
保管法が対策。
使っている個体は、使用中にガスが拡散されるので、劣化の発生はあってもゆっくりになるようです。 これはもうウイスルにおかされた梅の木のような感じです。
対処法がありません。
保存している個体は、劣化が始まると急激に劣化します。
結局、保管しているものの劣化を防ぐことが対策です。
それには、冷暗所で、乾燥したところに保管し、かつ対流がほしい。
と思います。
「水分」+「ガス」に対する、
「乾燥」+「対流」です。
そうすると、レンズなどの保管庫に内部対流ファン(ガス吸着フィルタ)が付いたものが良いのかなと思います。
業務用には、ファンの付いた最適そうな保管庫があります。
湿度0%からの超低湿保管庫 スーパードライ 東洋リビング(株)
でもちょっと大掛かりかなと思います。
一般に使うとすれば、カメラの保管庫です。
市販の防湿保管庫(レンズ、カメラなど保存用1~4万程度)には、hp100/200LXの保管に適したものがありそうです。
ただし、ファンの付いたものは見つかりません。
ファンは、USBファンが安く入手できます。
このファンに、ガスの吸着効果を付加すれば良いと思います。
活性炭の例:ガス吸着缶、エアークリーナーの活性炭、冷蔵庫用脱臭剤、などが良いかと思います。
hp200lx修理改造情報
https://lx-rest.com